次の未来へ

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遠くで、誰かの泣き声が聞こえる…
煩いな、眩しいな…

瞼を開けると、知らない天井が見えた。泣いていたのは僕自身で、どうやら自分の声で目覚めたようだった。誰かの暖かい腕の中で、僕はがむしゃらに体を動かした。頬を伝う水滴…ああ、これは僕の涙だ。空を掴む小さな手…これが僕の新しい前足みたい。だいぶ小さいけれど、滑らかで、五本の指が開いて、僕の頭を撫でてくれたあの人の手に似ている。

そうだ、僕はあの日、向かい来る自動車に気が付かず、轢かれそうになったあなたを助けようとして…。痛くて、苦しくて、それよりも、最後に見たあなたの泣き顔が哀しくて、僕は強く神様に願ったんだ。どうか、もう一度この人と暮らせますように、と。

「おめでとうございます。元気な男の子ですよ。」

また、あなたは泣いていたけど、今度は嬉しそうで。僕も嬉しくて、思わずあなたの頬を舐めた。

これから、僕の新生活が始まるんだ。
ファンタジー
公開:19/03/17 00:31

イロハマイ( トーキョー )

普段は曲を作って歌ってます。
妄想と空想が好きです。

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