4
7
タンポポの綿毛が、風に乗って窓の外からやってきた。
タカシは、頬に触れた綿毛のかすかな感触に目を覚ました。
上半身を起こしたタカシの口元からは、糸が引いている。机の上に広げてあるノートには、水たまりのようなよだれのシミができていた。
「あ……もう朝か。昨日もダメだったな……」
タカシは夜になると路上ライブをしに出かけては、帰ってきて曲作りをするという毎日を送っている。しかし、一向に売れる気配はない。昨日のライブでも、足を止めた人はごく僅かで、ほとんどの人はタカシに見向きもしなかった。しまいには、「うるせえ!」と怒鳴る人もあった。
「俺は本気で音楽をやってんのに、なかなかこの想いは伝わらないもんだなぁ」
タカシはノートにコードの続きを書きながら、大きく口を開けてあくびをした。
次の瞬間、頬についていた綿毛は、はらりと宙に浮き、窓から飛んで行った。
花が咲くのは、まだ先の話。
タカシは、頬に触れた綿毛のかすかな感触に目を覚ました。
上半身を起こしたタカシの口元からは、糸が引いている。机の上に広げてあるノートには、水たまりのようなよだれのシミができていた。
「あ……もう朝か。昨日もダメだったな……」
タカシは夜になると路上ライブをしに出かけては、帰ってきて曲作りをするという毎日を送っている。しかし、一向に売れる気配はない。昨日のライブでも、足を止めた人はごく僅かで、ほとんどの人はタカシに見向きもしなかった。しまいには、「うるせえ!」と怒鳴る人もあった。
「俺は本気で音楽をやってんのに、なかなかこの想いは伝わらないもんだなぁ」
タカシはノートにコードの続きを書きながら、大きく口を開けてあくびをした。
次の瞬間、頬についていた綿毛は、はらりと宙に浮き、窓から飛んで行った。
花が咲くのは、まだ先の話。
青春
公開:19/03/14 20:39
更新:19/03/15 20:16
更新:19/03/15 20:16
純文学系の作品を読むのが好きなので書く方も純文学よりのものが多くなります。
ご感想頂けると大変嬉しいです。
Twitterも是非フォローしてください。
ホームページには自身の全作品をまとめて掲載しています。
Twitter→http://twitter.com/hnctaro
ホームページ→http://hnctaro.wordpress.com
ログインするとコメントを投稿できます