かばんに住む

朝起きていつもの毎日が始まり、夜が来ていつもの毎日が終わる。自分のベッドで丸くなり、眠る。

毎日、毎日、毎日…

何か変えないと。

というわけで買ってきた。
人間が一人入れる大きさのカバン。
ちょうど俺が丸くなってすっぽりと収まる大きさ。

俺はカバンに住むことにした。

夜になると風呂で一日の汚れを全て落とし、カバンを持って街へ出かける。

今日はどこで眠るか。

安静に眠りたい場合には公園や橋の下。
しかし、そうじゃない。
ボートの上。線路脇。海岸。国会議事堂前。トイレの中。

目を覚ましてカバンを開けて見える世界が楽しみで仕方がない。

そして一年が過ぎた。

俺は今もカバンに住んでいる。

ただ、

朝起きていつもの毎日が始まり、夜が来ていつもの毎日が終わる。自分のカバンで丸くなり、眠る。

俺は一年前と何も変わらない。