アイスローズ・ホワイトデー

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「むう、これやるよ」
と、獏さんが大きな箱をくれた。バレンタインのお返しらしい。
私は丁寧にラッピングされた包装紙をビリッと破り、乱雑に箱を開けた。中に入っていたのは……。

大きな氷の薔薇。

「なにこれ?」
「ふっふっふ。凄いだろぉ? ぼくが必死に彫ったのさ。この指を見てくれ、霜焼けになったよ」
これは凄いというレベルじゃない。彫刻家も驚きそうなクオリティだ。しかし……。
「どうすんのさ、これ」
「飾ってよ」
「いや、溶けてビチョビチョになるし!」
「じゃあ、冷凍庫に」
「入りません!」
「マジか……」
獏さんはガックリとうなだれ、魂が抜けたようになってしまった。
「だいたい、なにを思って氷の薔薇なんか……」
「愛っす」
「は?」
「ほら、氷はアイスでしょ?」
「ダジャレかい!」
「それに薔薇の花言葉には『愛』という意味もあるのさ。ふふーん♪」
はいはい。その気持ちだけ貰っておきます。
青春
公開:19/03/14 20:00
ホワイトデー ※フィクションです

壬生乃サル

自由きままに、気の向くままに。
サルも木から落ちる・る・る~。

壬生乃サル(MIBU NO SARU)
Twitter(@saru_of_32)

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