風花舞う桜
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カツ、カツ、カツっ。
通い慣れた部屋の前で目を閉じる。すっかり暖かくなった空気と消毒液の香りを胸一杯に吸い込んで、部屋に入る。
ベッドに横たわる枯れ枝の様な彼女。窓の向こうでは桜が満開を迎えていた。
部屋の換気をしていると、何時の間にか彼女は目を覚まし、ゆったりと話す。
「あら?今日は雪が降っているのね。」
部屋に舞い込む白へ彼女は嬉しそうに目を細める。
「雪と言えば、思い出すわね。貴女が作ってくれたマフラー。どこにしまったのかしらね。」
私は口角を上げて、彼女との思い出話に興じる。
他愛無くて、懐かしい、思い出だ。それが積もり続けてきた。
気付けば、彼女の言葉は途切れて。疲れたのね。呑気に寝息立てちゃって。
春だもの。こんな、こんなにも暖かいのだもの…!
しょうがないわよね。
ふわりと風花が舞い、視界に白が差し込む。
嗚呼、雪が降っているのね。
固く握った手の上で雪が解けて、雫が落ちた。
通い慣れた部屋の前で目を閉じる。すっかり暖かくなった空気と消毒液の香りを胸一杯に吸い込んで、部屋に入る。
ベッドに横たわる枯れ枝の様な彼女。窓の向こうでは桜が満開を迎えていた。
部屋の換気をしていると、何時の間にか彼女は目を覚まし、ゆったりと話す。
「あら?今日は雪が降っているのね。」
部屋に舞い込む白へ彼女は嬉しそうに目を細める。
「雪と言えば、思い出すわね。貴女が作ってくれたマフラー。どこにしまったのかしらね。」
私は口角を上げて、彼女との思い出話に興じる。
他愛無くて、懐かしい、思い出だ。それが積もり続けてきた。
気付けば、彼女の言葉は途切れて。疲れたのね。呑気に寝息立てちゃって。
春だもの。こんな、こんなにも暖かいのだもの…!
しょうがないわよね。
ふわりと風花が舞い、視界に白が差し込む。
嗚呼、雪が降っているのね。
固く握った手の上で雪が解けて、雫が落ちた。
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公開:19/03/13 23:53
月の音色にて噂を聞きまして。
よろしくお願いいたします。
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