高い白の男

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「いやに驚いてるね、これかい?今日のために新調してきたんだ」
背も高く顔も悪くない。でも女子職員は誰も近づこうとしない。そりゃそうだ、公私に関わらず白のタキシードなんて着てりゃあね。
でも、何で私の家に?何か勘違いさせることをしたかなあ?思い当たるのは…
「受け取ってほしいんだ」
「ひっ!顔近づけないで!てか帰って不法侵入よ!」
私はキッチンに逃げ包丁を掴んで構えたが、相手は怯むどころか近寄ってくる。
「くっ正当防衛じゃ!」
私は身を躱した後、真横から奴の顔を斬りつけた。
ポトリと面が落ち、また新しい顔が浮き上がる。斬っても斬っても、また浮き出てくる。
まるで金太郎飴、ん、飴?
奴は落ちた面の一枚を拾うと茫然としている私の口に押し込んだ。
「はい、一月前のプレゼントのお返し」
ああ、だから一段と白いのを着てたのか。しかしあんな義理で…
甘ったるい味が口中に広がると、目の前が真っ白になった。
ホラー
公開:19/03/12 14:16
更新:19/03/16 11:37
ホワイトデー 今は飴が定番て わけでもないのね…

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