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「デッドスペースで死んでる虫とかって、みんな餓死なんですよ」
片付け途中の新居に押しかけてきて、そんな話を始めた後輩のOに、俺は苛立っていた。妻は二階を片付けにいった。
「彼女が言ってたんです」
「彼女? 今度、紹介しろよ」
「死んだんです」
俺は息を呑んだ。
「小さなデッドスペースには虫。中くらいなら鼠。みんな出られなくなって餓死する」
Oは暗い目で俺を見た。
「彼女は、何で死んだ?」
「餓死でした」
「…」
妻からワンコールの着信。『早く追い返せ、か』
俺は苦笑を隠してかけなおした。すると、
「も…今ちょ…迷…〈この電話は電波の届かないところにあるか―〉」
ありえない。妻は二階にいるのだ。
「もしもし、おい。もしもし」
狼狽する俺の腕をOが掴んだ。
「早く上へ!」
妻はデッドスペースでおろおろしていた。俺は妻を引っ張り出して、強く抱きしめた。
Oの姿は消えていた。
片付け途中の新居に押しかけてきて、そんな話を始めた後輩のOに、俺は苛立っていた。妻は二階を片付けにいった。
「彼女が言ってたんです」
「彼女? 今度、紹介しろよ」
「死んだんです」
俺は息を呑んだ。
「小さなデッドスペースには虫。中くらいなら鼠。みんな出られなくなって餓死する」
Oは暗い目で俺を見た。
「彼女は、何で死んだ?」
「餓死でした」
「…」
妻からワンコールの着信。『早く追い返せ、か』
俺は苦笑を隠してかけなおした。すると、
「も…今ちょ…迷…〈この電話は電波の届かないところにあるか―〉」
ありえない。妻は二階にいるのだ。
「もしもし、おい。もしもし」
狼狽する俺の腕をOが掴んだ。
「早く上へ!」
妻はデッドスペースでおろおろしていた。俺は妻を引っ張り出して、強く抱きしめた。
Oの姿は消えていた。
ホラー
公開:19/03/13 13:31
更新:19/03/13 13:31
更新:19/03/13 13:31
新生活
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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