128.『修羅場』

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重厚な場の雰囲気。緊張感が張り詰めピリついた空気感が漂う。言葉が無力化していく…。

修羅場……。

舞台は自宅から歩いて11歩で着く『コンビニ』

妻はレジ係。夫は客。

60年という、いくつもの夫婦生活という修羅場をくぐり抜けて来た二人。

妻は90歳、夫も90歳。

そして妻は品出し、レジ打ち、棚卸と数多くの業務をこなし、夫は立ち読み、コピー、各種チケットの事前予約をコンビニ設置複合機で使いこなす。

まず夫が出陣する。「これお願いします」

『週刊誌 大人ジャブ』をカウンターへそっと差し出す。

妻はマニュアル通り冷静に接客する。

「税抜き270円、税込み297円でございます」

完璧な対応だ。

夫は黙って釣銭なく代金を差し出す。妻はレシートのみを相手の手に触れないよう渡す。

夫は帰り際に言う。「ありがとうございました」

妻は黙ってお辞儀だけする。修羅場は毎日続いていく……
その他
公開:19/03/10 20:47
更新:19/06/15 20:18

ゆっち( 北海道 )

星新一さんを尊敬しています。ショートショートが大好きな気持ちは永遠です。
 

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