人間の塔

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塔の中は伽藍洞──。
僕は一冊の本を手に塔へ入った。

おわぁぁ、という声がした。
下を覗くと、金色にひかる無数の眼が突然の闖入者を見上げていた。
螺旋は遥か天井へと続き、壁には無数の本が詰まっていた。
忘れ去られた本たちを手に取りながら階段を登る。
物語や詩集に論説、ただの日記のようなものもある。或いは、全く意味の分からない文字の断片もある。
それらの本をじいっと眺めていると、背後に人の気配を感じた。
振り向くと女がいた。
ナンテ瞳だろう。
黒く、
大きな、
さからいがたい、
「君は⋯⋯」
「さあ、あなたの物語を預かりましょう」
彼女は僕の持ってきた本を受け取り、書棚へ収めた。
「新しい世界に書物は必要ありませんが、ここに来ればいつでも閲覧できます」
ああ、この人が塔の番人か⋯⋯。

女に別れを告げ、海の中へと還ってゆく。
きらきらと照らされた塔を背に、僕は泳ぐ速度を速めていった──。
SF
公開:19/03/10 19:20
更新:19/03/20 23:47

渋谷獏( 東京にいるけっどカンサイジ〜ン♪ )

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