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どうしても。
と言うから入ってもらった。
もう他人ではない。とはいえ恋人でもない。
出会った店では先生と呼ばれていたが、何の先生なのか私は知らない。名前も知らないし、好きな食べ物とか、出身地だとか、考えてみれば知らないことばかりだと思いながら、私は先生が終わるのを待った。
思ったほどでなく、つまらないとまでは言わないけれど、ありきたりでどうということもなかった。
おなかがへっているのも影響しているだろうし、飼っていた九官鳥がゆうべ死んでしまったことも無関係ではないだろう。
先生に言われるまで気がつかなかったけれど、はじめたとき、私は泣いていたらしい。
嫌なわけではないと私は伝えたが、先生は気が逸れてしまい、途中にもかかわらず、テレビをつけたのだった。
私たちはあんこうが吊るし切りされるのを生中継で見ながら、それとなく互いの下着を探した。
夫であることを忘れて過ごす。
それが私たちの休日だ。
公開:19/03/10 16:58
更新:19/03/20 12:01

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