腰を解く

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 目覚めた時、腰に激痛が走った。息を整えて、そっと体を起こそうとしたが、やはり激痛が襲う。
「捻ったな」
 僕は呼吸を整えて、体勢を確認する。左が下で左腕は前、右腕は後ろ。左足が前で、その後ろに沿うように右足。ベッドの縁までは、前に一回点半、背後に半回転とみた。
 足を下ろしながら体を起こして縁に座るのがベストだ。
 体を前に押し出せ… ない。押して駄目なら、と腰から後ろへズレてみる。こいつ動くぞ!
 背中が縁に到達。左足を右足の後ろへ… 激痛。よし右足だ。痛みの予感に左手がピンと伸びる。何コレ? 電気ショック付き知恵の輪?
 右手で尻を撫でつつ体を捻る。ついに臍が上を向く。右足裏に床を感じる。右手で空を掴みつつ、左腕で体を持ち上げる。痛くないぞ!
 ゴトン。と下半身だけが床に落ちた。腰の痛みもなくなった。
 知恵の輪が外れる時ってこんな感じだよなと思いながら、僕はもう少し寝ることにした。
その他
公開:19/03/10 13:57
更新:19/03/10 14:05

新出既出

星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。

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