トータルサポートランドセル

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「行ってらっしゃい」
大きなランドセルを背負った小さな娘を見送った。後ろ姿はまるで足が生えたランドセルだ。
一人で大丈夫だろうか…。
なんて不安は全く無かった。AI搭載の高機能ランドセルが娘の新生活をサポートしてくれるからだ。通学途中に何かあるとアラームが鳴り響く。GPS搭載でどこで何があったかをメールで教えてくれる。それだけではない。目覚まし時計や、忘れ物チェック機能、天気予報や占い、ブログ、授業のサポートはもちろん、話し相手にもなる。もう、これ一つで何でも出来る。
一学期を終える頃には娘はいつもランドセルを持ち歩くようになった。友達も出来ず、ずっとランドセルに話しかけている。
心配になってカウンセラーに相談した。
「これはランドセル依存性ですねぇ。まずは少しづつランドセルを持たない時間を増やす事から始めましょう。お母さん、聞いてます?」
あらいけない。
スマホに夢中で聞いてなかったわ。
ファンタジー
公開:19/03/11 18:23
更新:19/03/12 22:31

のりてるぴか( ちばけん )

月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。

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