花神の庭~魂緒花(たまのおばな)

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碧空を芒(すすき)が逆さにそよぐ。
尾花に見えるのは、根国(ねのくに/黄泉)の表層から伸びた根。死者が溜まる黄泉の泥から、魂を吸って咲く芒の根が、時折底国(そこのくに)へ達する。黄泉と地上の境が薄く、芒も生育旺盛な時期。僕が放り出された日も、空には芒が揺れた。
季節だけが循環する常世(とこよ)の庭で、僕は不変の器に繋がれている。

女の子が横にいる。尾花にならず根から零れた魂。咲かなければ、転生出来ず消えてしまう。
「ねーね、ころぉ、よ。こぉーろぉよ」
舌足らずな節に頭を撫でられ、僕は地面に寝ている。花神(はなかみ)を送り、疲れて倒れた。まだ身体と魂が噛み合わなかった頃。
「ねぇね?」
せめて『にぃに』にしてくれ。
「イサナ」
「……いさな?」
透けていく声が堪らなかった。
「ねのくにそこのくにに、いぶきはなちてむ」
触れた手で光が交錯した。
神にも赦されない領域。僕は反魂の禁忌を犯した。
ファンタジー
公開:19/03/11 17:00
更新:19/03/11 16:39
芒(尾花):生命力・心が通じる ※幽霊の正体見たり枯れ尾花

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞

いつも本当にありがとうございます!

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