かつて青かった星と虫

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かつて日本は毛虫だった。
大陸の小さな一匹の毛虫が海を目指すうちに、植物や土を巻きこんで、太く大きな虫となって大海に出た。
時は過ぎて、毛虫だった日本は海面に浮かんだままその虫生を終えた。
日本の背中には雨や陽射しが降り注いで、多様な生物を育んだ。
そのころの地球は激しい乾燥による砂漠化で、人類は大陸での生活が困難となり、日本の背中に移住して生き残りを図ったという。それでも乾燥からは逃れられず、人類は地球を離れた。
地球暦3055年のことだ。
最新の地球探査船からの映像では、茶色く乾いた毛虫の背中にいくつかの白い丘が確認された。
人類は激しい乾燥に大量のニベアで対抗したと言われている。
河川に流れたニベアは水流に乗って土地を削り河岸段丘を形成した。
あのニベアの下には水分が残っているかもしれない。
地球で暮らす夢が潤いを取り戻して人類は湧いた。
かつて地球は青かった。
ニベア缶のように。
公開:19/03/11 12:08
更新:19/03/11 15:51

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