贈る言葉

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俺は銀座のスカウトマン。一流のホステスになれる女を見定める目は一級品を自認する。

今も有望株の女に声をかけ、侮蔑の表情を向ける彼女と並んで歩き、執拗に口説き続けている。

女は無視を決め込み歩き続けていたが、ある場所で急に足が止まった。

「裁判所?あっ!」

「やっぱり忘れていたのね。女房と気づかず口説き続けるあなたには、あきれてものが言えないわ」

なんと彼女は別居中の女房。そういえば離婚調停の出頭通知が来ていた。

クソッ!女房と気づかずスカウトするとは、何たるチョンボ!

「もう逃がさないわよ」

しかし、あいつここまでイイ女だったか?

「あとは調停室で聞いてあげるわ」

だとすれば俺は…

「違う、今聞いてくれ!」

そうだ!俺はどうしても彼女の為に言わなきゃいけないことがある!

「嘘は言わん。今のオマエならきっと」

一流のホステスになれると俺は確信している。
その他
公開:19/03/11 08:30
更新:19/10/12 12:13

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