逆走

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 アフター5なビジネス街で、関西訛りの紳士をお乗せした。
「どうですか東京のタクシーは。景気のほうは」
なんてところから始まって、目的地の焼肉屋までずっと陽気に話していた。

「あ、このお店ですね」
「おお、もう着きました? 話してたらあっという間やった。おいくらですか?」
「1050円です」
「1050円ね。あ、そうだお兄さん。悪いんですけどね。もういっこ寄るとこあったんや」
「はい。どうしましょ」
「ちょっと通り過ぎただけなんやけど。少しだけバックしてくれる?」
「かしこまりましたっ。下がりま~す」

 ガコ。ピー、ピー。ブォ~ン。

「悪いねぇ。申し訳ない」
「大丈夫ですよ~」ブォ~ン。「まだ下がります?」
「あぁもうちょい。もうちょっと」
「はい~」

 ブォ~ン。ピー、ピー。

『ピ♪ 料金は、1130円です』
「下がらんのかい!」
「下がってますけど」
「もうええわ!」
ミステリー・推理
公開:19/03/09 14:06
地べたの雲

10101298

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