刀剣と足跡 カレンダー刑事 vol.3

10
9

美術館で盗難事件が起きた。
企画展の展示品の入れ替えの最中、文化財の「懐刀」(刀剣)が紛失。
現場には犯人と思われる足あとが残っていた。

「鑑識では、農作業用の長靴の跡だそうですよ」
部下の報告を聞いて、カレンダー刑事は言う。「農業従事者か、ガーデニングをする人かな」
「でも街なかに長靴を履いて来たんですかねぇ」

カレンダー刑事は手帳を出して開いた。「事件の当日は一日中、雨だな」
少し考えて彼は言った。「ホシを、若い女性に絞って調べを進めようか」

女の子と、刀剣。果たして捜査が進むと、まさに図星。
盗ったのは、刀剣がテーマの物語のファンの女性だった。美術館の展示を見て、出来心でやってしまったと自白したのだ。

「無骨な農業用の長靴を、レトロな雨靴として履くんだよ。最近のファッションは」
感心する部下に、カレンダー刑事は言う。
「見方を変えれば、ホシは割り切れる。算数をするように、さ」
ミステリー・推理
公開:19/03/09 13:00
更新:19/03/10 22:26
刑事ドラマ カレンダー刑事 素数は割り切れないが

tamaonion( 千葉 )

雑貨関連の仕事をしています。こだわりの生活雑貨、インテリア小物やおもしろステーショナリー、和めるガラクタなどが好きです。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容