グレイ

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お酢とオリーブオイルで和えたむらさきキャベツをたっぷりとのせて、ナイフとフォークでそれをすくいあげた。

羊肉。

私は羊肉が好きだ。

鼻を抜ける特有の匂いと黒胡椒の香り。ふわふわと可愛らしい見た目からは想像できない野生そのもの味がする。

まだ数分しか経っていないのに、真っ白なお皿の上には小さなじゃがいもが1つあるだけだった。それを口の中に放り込む。

雨か。

室内にいるせいか、雨の音は聞こえなかった。
窓についている水滴、下を見ると傘を差している人が行き来している。

私は何処に流れようとして、何処に行き着くのだろう。

あの心地良い音を聞かないと勿体ない気がした。

まだナイフで取りきれていなかった肉がこびりついている。
何か物足りなくなって私はその骨にむしゃぶりついた。

とてつもない勢いで食事をしたと思った。

羊肉の匂いが鼻を掠める。
胸が締め付けられるような感じがした。
青春
公開:19/03/09 05:37

そら豆( 港区 )

間違えてアカウント2つになってしまい、
もう1つの方は消しました。こっちのアカウントがメインです。

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