花神の庭~馬喰百合(ばくろうゆり)下
0
5
花守り(はなもり)になって、身体の死を経験した事は何度もある。
相手は花とは言え、仮にも神。僕は祝詞(のりと)や拍手(かしわで)を識るだけの、時間が固定された肉体に、魂を繋がれただけの人間だ。神は気まぐれに残忍に、命を弄び、奪い、生かす。人の生死は彼らにすれば、砂時計の砂が移動する様なもの。人の規範に当てはめる事に無理がある。
畏まり、伏し奉(たてまつ)り、動座願う。それが僕の役目だと弁えてきた。正確には弁えようとしてきた。
『下津磐根宮柱太敷立!!』
僕は禁忌を犯し、花神(はなかみ)を殺した。
吐き捨てた声は、意識は、咄嗟に別のものに向いていた。
『……いさな?』
禁を犯したのは、今回が初めてでもない――。
「イサナ!起きてよ、イサナ!!」
どうして、またここにいるんだろう。
視界に白い蕾が揺れる。百合の香りがする。
頭の下に膝の感触を確かめながら、僕は打ちのめされて動けなかった。
相手は花とは言え、仮にも神。僕は祝詞(のりと)や拍手(かしわで)を識るだけの、時間が固定された肉体に、魂を繋がれただけの人間だ。神は気まぐれに残忍に、命を弄び、奪い、生かす。人の生死は彼らにすれば、砂時計の砂が移動する様なもの。人の規範に当てはめる事に無理がある。
畏まり、伏し奉(たてまつ)り、動座願う。それが僕の役目だと弁えてきた。正確には弁えようとしてきた。
『下津磐根宮柱太敷立!!』
僕は禁忌を犯し、花神(はなかみ)を殺した。
吐き捨てた声は、意識は、咄嗟に別のものに向いていた。
『……いさな?』
禁を犯したのは、今回が初めてでもない――。
「イサナ!起きてよ、イサナ!!」
どうして、またここにいるんだろう。
視界に白い蕾が揺れる。百合の香りがする。
頭の下に膝の感触を確かめながら、僕は打ちのめされて動けなかった。
ファンタジー
公開:19/03/09 00:00
更新:19/03/08 23:27
更新:19/03/08 23:27
黒百合:呪い・恋
※馬喰(博労・伯楽とも)とは、
牛馬の仲買い人の事。
転じて目利き、人を見抜く者
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
https://amzn.to/32W8iRO
ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
コメントはありません
ログインするとコメントを投稿できます