花神の庭~一角馴らし
0
7
たまには乗馬も良い。蹄と砂利の玉響(たまゆら)を聞きながら、馬腹を軽く蹴る。景色が見渡す限りの草原に変じ、風に乗って加速する。結髪が銀の鬣(たてがみ)とはためいて二色の虹を架け、重力から自由になる。
ぶるん、鳴らした鼻面に、萌黄に光る一角。
まさかユニコーンに跨る日が来ようとは。白百合の花神(はなかみ)は純潔の守護。基本乙女しか受け付けないと思えば、案外見た目重視らしい。
衣装に化粧に乗り方、とかく注文が多い。これ以上図に乗られる前に、さっさと満足して昇ってもらおう。
「イサナ?何その格好!」
景色が庭に戻り、脚から馬体が消えた。
――百合!
何て間の悪い。角を低めひた走る白緑、玄関で凍り付いた顔――まずい!
「下津磐根宮柱太敷立!!」
ズン!天から降った柱にユニコーンが衝突、角がパキンと折れ。
真っ黒に染まって動かなくなった。
一輪蕾の鉄砲百合が、真ん中から腐って枯れ、地面に消えた。
ぶるん、鳴らした鼻面に、萌黄に光る一角。
まさかユニコーンに跨る日が来ようとは。白百合の花神(はなかみ)は純潔の守護。基本乙女しか受け付けないと思えば、案外見た目重視らしい。
衣装に化粧に乗り方、とかく注文が多い。これ以上図に乗られる前に、さっさと満足して昇ってもらおう。
「イサナ?何その格好!」
景色が庭に戻り、脚から馬体が消えた。
――百合!
何て間の悪い。角を低めひた走る白緑、玄関で凍り付いた顔――まずい!
「下津磐根宮柱太敷立!!」
ズン!天から降った柱にユニコーンが衝突、角がパキンと折れ。
真っ黒に染まって動かなくなった。
一輪蕾の鉄砲百合が、真ん中から腐って枯れ、地面に消えた。
ファンタジー
公開:19/03/08 20:00
鉄砲百合:純潔・威厳(白)
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
https://amzn.to/32W8iRO
ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
コメントはありません
ログインするとコメントを投稿できます