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春。抜ける様な青空の下、人々は思い思いの行動を取っている。
空を恨めしそうに睨み、頭を隠して歩いている中年男性は残り少ない髪の毛が抜けやしないかと心配している。
そんな中年男性をぼ~っと見つめる学生達。彼らは気が抜けている。
この春の陽気に誘われ、今にも寝てしまいそうだ。昨夜も親の目を抜け、夜更かしをしていた。
欠伸で大きく開けた口からは魂が抜けるように見える。
そんな学生を懐かしい目で見つめるのは新社会人。彼女は昔から言えば大分垢抜けた。
大学では宴会を抜ける方法も身につけている。お酒の失敗も抜かりない。
そんな娘を心配そうに見つめる父はそっと雑踏から抜けた。過保護も今日までにしようと決めたのだ。

あるところでは老人が腰を抜かしてた。
「源さん、ちょっと抜けているんじゃないか?」と仲間が笑う。突き抜けた笑い声が空へと吸い込まれる。
抜ける様な青空は人々の新生活を抜け目なく応援している。
公開:19/03/08 19:06
更新:19/03/09 18:17

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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