もののけクレープ

　クレープを食べたかった。ただそれだけなのに、どうして店閉まいする？　世界は終わる？「世界が終わる」一環で、「行きつけのクレープ屋が閉まる」。その結果として、僕の高二の新生活が困る。疲れた頭を癒すのはいつも、糖分だ。糖分こそが、僕を、皆を救ってくれる。救ってくれている事実も知られずに、救ってくれる。
　「あのクレープ屋には、もののけが棲んでいるの。知ってた？」と君が言う。
　知る由もないし、世界が終わるのに、今更そんな。
　「そう、『そんな』なの」
　 何が「そう、『そんな』なの」だ。新生活は永遠に来ないんだろ？
　「それは、あなた次第なんじゃない？」
　 ――以上が、新商品「『未来をくれ』ープ」のコンセプトです。販売期間は短いかもしれませんが、よろしくお願いしますとぬらりひょんは言った。