そこは白線につき

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僕の父さんはとても真面目だった。
信号を渡るときは必ず白線を踏んで渡った。当時まだ小さかった僕はその白線をピョコンと飛んで父さんに着いてった。

高校生の頃父さんは亡くなったけど、僕は白線がある所では絶対にその上を歩いた。だって天国から僕を見守ってるから。

就職で越してきたある日、散歩していたら細い路地を見つけた。その端には白線が引いてある。何故だろう?でもとにかく白線に出会ったからにはその上を歩かなければならない。
幅8cm程のそこからずれないように慎重に歩を進めていると、向こうから同じ様に白線の上を歩いてる人が来た。
だが譲るわけにはいかない。が、相手も避けることなく近づいてくる。そしてあと数十センチのところで漸く互いに立ち止まると、相手は「白線?」と聞いてきた。

喫驚したがしっかり目を見て「はい」と答えると、その紳士は莞爾として譲ってくれた。僕たちは握手を交わし、再び歩きだした。
その他
公開:19/03/10 21:00
更新:19/03/14 15:51

ことのは もも。( 日本 関東 )

日本語が好き♡
18歳の頃から時々文章を書いています。
短い物語が好きです。
どれかひとつでも誰かの心に届きます様に☆
感想はいつでもお待ちしています!
宜しくお願い致します。

こちらでは2018年5月から書き始めて、2020年11月の時点で300作になりました。
これからもゆっくりですが、コツコツと書いていきたいと思います(*^^*)

2019年 プチコン新生活優秀賞受賞
2020年 DJ MARUKOME読めるカレー大賞特別賞受賞
2021年 ベルモニー縁コンテスト 入選

 

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