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小学生の頃、通学路には駄菓子屋があって、その横の細い道をしばらく進むと空き地があった。
そこは僕たちだけの秘密のお城で、毎日一緒にゲームをしたり、駄菓子を食べたり、宿題をしたりした。

中学校へ通うようになると通学路は変わり、空き地にも訪れなくなった。
その後、僕たちは別々の高校に進学し、二十歳になる頃には二人とも地元を離れた。
僕たちが地元を離れている間に地域全体の再開発が進み、駄菓子屋の周辺は取り壊されて大きなスーパーに建て替えられ、空き地にはアパートが建った。

社会人になって四年目の春。
いつもの駄菓子屋で買い物を終えた僕たちは、まだ新しい城のドアを二人で開けた。
明日、僕たちは結婚する。
青春
公開:19/03/07 22:52
新生活

TAMAUSA825( 東京と神奈川 )

登場することが趣味です。

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