噂屋
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「おい、早くしろ。噂が届いちまう」透明の向こうから声がする。 「は、はあ」よく分からないまま泡立て器を持たされたオレは、それなりに町で人気のケーキ職人だ。しかし目が覚めたらこの状況。
依頼人も分からない。ここにある材料でケーキを作れということだ。オレは取り敢えず材料を確かめる。見たことないものばかり。甘い花の蜜、新芽の香りのチョコ、黄色い花粉みたいなものまで。よし。イメージを組み立てるとスポンジに色を混ぜ、仕上げに蜜を塗ったケーキを作った。
「誰が食べるの?」聞くと「黙って待ちな」と声。 やがて突風が吹いたと思うと、何やらひそひそ話が聴こえる。風が通ったあとは木々が芽吹き、緑の世界に変わった。
「ほらよ」声は風に向かってケーキを放る。「あ、ちょっと」とムッとすると、ケーキは空中で消え風はほんのりピンクになった。「お礼だよ。噂屋が春の噂を運ばないと、木々や草の1年は始まらないのさ」
依頼人も分からない。ここにある材料でケーキを作れということだ。オレは取り敢えず材料を確かめる。見たことないものばかり。甘い花の蜜、新芽の香りのチョコ、黄色い花粉みたいなものまで。よし。イメージを組み立てるとスポンジに色を混ぜ、仕上げに蜜を塗ったケーキを作った。
「誰が食べるの?」聞くと「黙って待ちな」と声。 やがて突風が吹いたと思うと、何やらひそひそ話が聴こえる。風が通ったあとは木々が芽吹き、緑の世界に変わった。
「ほらよ」声は風に向かってケーキを放る。「あ、ちょっと」とムッとすると、ケーキは空中で消え風はほんのりピンクになった。「お礼だよ。噂屋が春の噂を運ばないと、木々や草の1年は始まらないのさ」
ファンタジー
公開:19/03/07 21:57
更新:19/03/09 10:07
更新:19/03/09 10:07
自然と暮らす。
題材は身近なものが多いです。
110.泡顔
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