涙の海へ大航海

親元を離れ、初めての一人暮らしが始まった私。
引っ越し、電気や銀行の手続き、これから必要になる日常用品を買い込んで、1人の部屋へ戻る。
だいぶ部屋が部屋らしくなってきた。

しかし、ポツンとひとり。
涙が溢れる。
私の涙は止まらない。
狭い部屋は直ぐ涙に飲み込まれ、私の部屋が涙で無限に広がる。仲間を探しに涙の海を泳いで冒険に出る。途中、彩り豊かな熱帯魚の群と珊瑚礁。光が陰る。見上げると、大きなジンベイザメが優雅に泳ぐ。
ジンベイザメを追う私。
声をかけられ振り向く。
「私も一人暮らし！部屋を見に来て！」
人魚が、私の手を握り部屋へと案内してくれた。
私はウキウキしながら一緒に泳ぐ。新しい人魚の友達と私は微笑み部屋へと入る。
真っ白な珊瑚のテーブルが置いてある素敵なお部屋だ。
私も真っ白いテーブルを買おう！
航海から帰港。大きな月夜の下、私は部屋の岸辺で、インテリアショップのサイトを眺めた。