「雲と猿」

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電子書籍で溢れる森の中を、二人がけソファーほどの雲が猿を乗せて走っていた。雲はキャップをかぶり、メガネをかけている。そんな雲が猿に言った。
「これ、迷ったね。猿が真っ直ぐ行けって言うからー」
猿がムスッとして言い返す。
「そんなこと言った覚えはない」
そう言い終える前に、猿が雑草生い茂る地面に叩きつけられた。
「ウキャッ!」
振り落とされた猿が、赤いお尻を擦りながら雲を睨み付ける。
「なにすんだ、剃斗雲(そるとうん)!」
剃斗雲と呼ばれた雲が軽い口調で言った。
「ごめーん。誰かさんが迷った事を人のせいにするからー」
「人って、雲じゃねーか」
「猿に言われたくないねー」
「中途半端なオシャレ雲め……」
「しかし、無料のショートケーキはどこだろうね?」
雲と猿は目を合わし、ため息をついた。
「うーん。青空とエロスに溢れているなぁ……」

こうして、同じところをグルグル回り続けているのであった。
ファンタジー
公開:19/03/08 13:33
更新:19/03/11 19:46
ベリショ

壬生乃サル

まったり。

2022年…3本
2021年…12本
2020年…63本
2019年…219本
2018年…320本 (5/13~)

壬生乃サル(MiBU NO SARU)
Twitter(@saru_of_32)

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