おじいさん屋さん

8
9

今月のお小遣いをもらった。
何を買おうかな。
まあるくて、ぱちぱちとはじけるキャンディ。
キラキラ光って、カッコイイカード。
でも、やっぱりおじいさん。
最近学校で流行っている、おじいさんを買おう。
私はおじいさん屋さんへ行くことにした。

おじいさん屋さんの引き戸を開けて中へ入ると、おじいさんがいっぱい。
鈍色のシブいおじいさん。
黄色のナウいおじいさん。
緑色に光る怪しいおじいさん。
私は色とりどりのおじいさんに魅了された。

どのおじいさんにしようかと悩んでいると、焦げ茶色のおじいさんと目が合った。
香ばしく匂うような焦げ茶色。
鋭いけれども、どこか優し気な流し目。
老いを感じさせないスタイルの良さ。
でも、決め手はしわくちゃの笑顔だった。
私はお小遣いを全部はたいて、おじいさんを買った。

翌月、私はまたおじいさん屋さんへ来た。
戸には貼り紙がしてあった。

「人身売買により閉店」
ファンタジー
公開:19/03/08 02:39

undoodnu( カントー地方 )

構成の凝った作品が好きです。
雑絡みOK!

電子書籍発売中:
https://www.amazon.co.jp/undoodnu/e/B07MK93FWK

Twitter:
https://twitter.com/undoodnu

note:
https://note.com/undoodnu

タップノベル:
https://tapnovel.com/writers/15521

アルファポリス(漫画など):
https://t.co/dsJrZRgEKC

ベリーショートショートマガジン「ベリショーズ」参加&編集&IT技術顧問:
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B07PDJ6QPL

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容