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今日も目が覚めてしまった。
つまらない惰性の1日が始まる。

俺は重い頭を持ち上げ、横を見てギョッとした。
ベッドの脇には大量の血を流した男が横たわっていた。
なんでこんなところに!
驚きのあまりしばらく体が動かなかった。

「ピンポーン」
チャイムの音に飛び上がった。
恐る恐る窓から外を覗くと、玄関の前には同僚の姿があった。出社しない俺の様子を見に来たのだろう。同僚は繰り返しチャイムを鳴らし、応答がないと今度はドンドンとドアを叩き始めた。
息を潜めて様子を見ていると、同僚は固い表情のまま早足で立ち去った。諦めたのか、あるいは人を呼びに行ったのかもしれない。

一体、この事態をどうすればいいのか。
困惑したまま首のあたりに手をやると、何かヒリヒリした感覚があった。なんだろう。鏡を覗くと、部屋に横たわる男が映った。
首元に大きな傷が開き、そこから大量の血が流れていた。

あれは俺か!
ミステリー・推理
公開:19/03/06 12:30

ケイ( 長野 )

ショートストーリー、短編小説を書いています。
noteでも作品紹介しています。​​
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テーマは「本」と「旅」です。

2019年3月、ショートショートコンテスト「家族」に応募した『身寄り』がベルモニー賞を受賞しました。(旧名義)
2019年12月、渋谷TSUTAYAショートショートコンテストに応募した『スミレ』が優秀賞を受賞しました。
2020年3月、ショートショートコンテスト「節目」に応募した『誕生会』がベルモニー賞を受賞しました。

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