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北からの急坂は右カーブの直後で唐突に終わり、あとは畑の中を延々と南へ続く平坦路となる。この片側一車線の右カーブの直後に、細い道が交差している。この道は生垣に視界を塞がれたまま、西から東へだらだらと下っていく。
交差点に信号は無く、北東角に南北二枚の鏡のついたカーブミラーが立っている。
西から自転車で通る時は下り坂なので止まりたくない。だが、南向きの鏡には大抵、ライトが大きく映っている。しかしそれは、数百メートル南を走ってくる車のライトだったりする。
逆に、北向きの鏡にライトが映っていないからといって安心はできない。北からの車は、カーブを曲がりきった直後でないと、鏡には映らないからだ。
南からは、映っていても距離が読めない車。北からは、映っていないがすぐ来るかもしれない車。
私は毎晩このカーブミラーを睨んで、自分が明日も生きていていいのかを占うつもりで、交差点に突っ込んでいく。
交差点に信号は無く、北東角に南北二枚の鏡のついたカーブミラーが立っている。
西から自転車で通る時は下り坂なので止まりたくない。だが、南向きの鏡には大抵、ライトが大きく映っている。しかしそれは、数百メートル南を走ってくる車のライトだったりする。
逆に、北向きの鏡にライトが映っていないからといって安心はできない。北からの車は、カーブを曲がりきった直後でないと、鏡には映らないからだ。
南からは、映っていても距離が読めない車。北からは、映っていないがすぐ来るかもしれない車。
私は毎晩このカーブミラーを睨んで、自分が明日も生きていていいのかを占うつもりで、交差点に突っ込んでいく。
その他
公開:19/03/06 12:30
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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