幻想動物見聞録・忠吉の場合

蛇女にあったのは、土砂降りの日でした。1時間に一本通るかどうか怪しいバス停は小屋のようになっていて、中に飛び込むまでソレには気がつかなかったんです。女は暗緑色の鱗まじりの長い首筋を見せて、こっちを流し目で見て笑うんです。蛇ってったって、形はほとんど人間でしてね。スラリとした長い手足を組んで優雅に座っているんです。
その滑らかな素肌（？）、妖しげな大きな目、じっとりとした存在感。全てが雨のこもった匂いに立ち込めて……なんか変な気分になってきたんですよ。外は土砂降りで、ちょっとした密室に蛇女と二人っきり。縦に伸びた虹彩は不気味ですが、ツンと通った鼻筋のギャップに病みつきになっちゃって。
「どちらからお越しですか？」
って聞く前に、その人バスにのっちゃった。俺は乗りそびれましたよ。
それで相談なんですが……ああいう人ってやっぱり神様の類でしょうかね？プレゼントなんて、何がいいかな、どう思います？