初任給まで待てない

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「デートしよ!」
「お金がありません!」
即答した僕。
「ぶー」
「まあまあ、一緒の買い物を楽しもうよ」
「…スーパーの食品売り場じゃない」
「今月は物入りでね、自炊を迫られるくらいに。それに、ここも楽しいよ、例えば…」
「僕バナナ、スイートスポットが自慢、只今大安売り中、うれすぎちゃって困っちゃう」
「ハハ、何よそれ」
好感触、さらに棚を物色。
「笑顔が一番、涙はむいてないからね」
「じゃ、屋根の上に光るタマネギを見に行っちゃう?、貯金箱壊して武道館のコンサートチケットをプレゼントしてくれてもいいよ」
「それフラれるやつ!」
「もう仕方ないな」
彼女は微笑んで。
「私はね、頑張る君の味方だから、たとえお金が無くて、遊びに連れて行ってくれないとしても」
「今は日の目を見なくてもいいの、きっと芽が出て、新たな生活を送って行けると信じてる」
「そう言いながら、もやし生活を勧めないでくれますか」
その他
公開:19/03/05 20:28
更新:19/07/29 00:58
新生活

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