花神の庭~文目蟷螂(あやめとうろう)下
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ぐずる百合を帰し、文目(あやめ)と化した蟷螂(かまきり)に対する。人に殺され神になったモノが、人の詞に耳を貸す可能性は低いが、これは僕の役目だ。
「くぬちになりいでむ。あまのますひとらが、あやまちおかしけむ」
スパ。指が切れる。恨みと憤りの尖った叫び。
「くさぐさのつみごとは、あまつつみくにつつみ、ここだくのつみいでむ、かくいでば」
掌で緑の鎌が濡れる。こいつは『手に潰された』事しか憶えていない。
「あまつみやごともちて、あまつかなぎをもとうちきり、すえうちたちて」
解ってくれ。痛かったも悔しかったも忘れなくていいから。
「ちくらのおきくらに、おきたらはして」
お前を傷付ける者も、閉じ込める者もいない。お前はそこから出ていいんだ。
「のこるつみはあらじと。はらひたまひ。きよめたまふことを」
――結局、蟷螂は昇らなかった。
移植した文目から、時々僕の手へよじ上る。
どうやら懐かれた様だ。
「くぬちになりいでむ。あまのますひとらが、あやまちおかしけむ」
スパ。指が切れる。恨みと憤りの尖った叫び。
「くさぐさのつみごとは、あまつつみくにつつみ、ここだくのつみいでむ、かくいでば」
掌で緑の鎌が濡れる。こいつは『手に潰された』事しか憶えていない。
「あまつみやごともちて、あまつかなぎをもとうちきり、すえうちたちて」
解ってくれ。痛かったも悔しかったも忘れなくていいから。
「ちくらのおきくらに、おきたらはして」
お前を傷付ける者も、閉じ込める者もいない。お前はそこから出ていいんだ。
「のこるつみはあらじと。はらひたまひ。きよめたまふことを」
――結局、蟷螂は昇らなかった。
移植した文目から、時々僕の手へよじ上る。
どうやら懐かれた様だ。
ファンタジー
公開:19/03/07 00:00
文目(あやめ):メッセージ・
友情・信じる者は救われる
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
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