卒業制作展

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「山崎これ見ろよ。作者の名前GODだぜ。センスねぇな」
オレは共に今年桜散った山崎と憧れの美術大学卒業制作展を観に行っていた。

『新生活』 GOD
2018年 素材:透明アクリル板

人が入れる四角い透明の箱にドアがついてるだけの作品。
山崎は躊躇いもなくドアを開け、中に入った。途端に山崎が消え、ピンクの煙に包まれて直ぐに戻ってきた。
山崎は放心しながら、オレに入れと無言で『新生活』を指差す。
恐る恐るオレも入る。
その瞬間、これからオレに起こる未来が見えた。引っ越し・バイト・予備校通い。目まぐるしく場面が変わる。
するとオレのアングルが変わる。
母さんが清掃のパートを、父さんは残業をしていた。
父さんはオレの美大の進学を反対していたのに。
…オレを思っていてくれた
柔らかいピンクの煙は、オレの実家の匂いがした。

山崎は目を合わせると「俺、頑張るわ」と言った。
オレも同じ事を言った。
青春
公開:19/03/06 18:14
更新:19/03/07 11:59
新生活

さささ ゆゆ( 神奈川 )

最近生業が忙しく、庭の手入れが疎かな庭師の庭でございます。

「これはいかんっ!!」と突然来ては草刈りをガツガツとし、バンバン種を撒きます。

なので庭は、愉快も怖いも不思議もごちゃごちゃ。

でもね、よく読むと同じ花だってわかりますよ。


Twitter:さささ ゆゆ@sa3_yu2





 

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