美しく裂けるきのこの森

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ほっといても裂けていく、勝手に、気ままに。
そんなきのこが、いたんです。
さけるチーズに対抗してるだとか、そんな野暮なことはいいっこなしさ。
だってここは森の奥。
最新にして、私の最深部。
誰にも気付かれずにひっそりと、あぁ、そのくせ、木々のその豊かに茂る葉たちの隙間から、いたずらに照らされる瞬間を待ち焦がれている。
まるで無邪気な恋人にくすぐられるように。
そしたらきっと笑っちゃうね。だってそれはどこまでいっても、痩せても枯れても腐っても、裂けても避けては通れない、むき身の自分の立像なのだ。
どこかで、一斉に爆弾が投下された、気だけがした。まるで、天空から降り注ぐ吹き出物のように、むしろ地中から一斉に飛び出すダンゴムシ。または、数多の荒い息遣いがやがてただ生活と呼ばれるような予感の産声と、その圧縮されたデータを高速でクリックするキツツキたち。みな、傷付き。
きのこのことなど、もう知らん。
青春
公開:19/03/06 13:38

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