守るべきもの

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ざらりざらり。
私は節子にナメられている。
節子はネコのはずだった。でも成長するにつれて、どうやらネコではないことがわかってきた。
その目はなに?その大きな口は?
その歯はもう歯とは呼ばないよね。
それでなにを切り裂いて、なにを食べるつもりなの?
おなかが減ったからってノドを鳴らすのはやめて。苦情がきてる。
あなたが尻尾でハエを追い払うたびに、私は自分がムチで打たれたような気持ちになるの。
こんなこと言いたくなかった。
でも節子、お肉屋さんは私を業者だと勘違いしてるわ。私は仕入れに行ってるわけじゃない。このままじゃあなたの食費で私の生活は壊れちゃう。
ねえ聞いてるの?
ベッドは駄目!
どっちが飼われてるかわからなくなるじゃない。
それから節子は家に寄りつかなくなった。私は言い過ぎたことを後悔した。

春。節子はオスを連れて帰った。
そのヒゲ面は言った。
「繁殖いいすか?」

ベッドは駄目!
公開:19/03/04 13:23

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