マジック

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池田は、見習いのマジシャンとして、都内のマジックバーで働いていた。

「ここに一枚のカードがあります。このように、フッーと息を吹きかけると」

次の瞬間、二人の客の前で池田の手に持つ一枚のカードが燃え上がり、きえた。

客は、目をぱちくりさせる。
池田は、すかさず、指をパチンと鳴らす。

「今消えたカードがあなたの胸のポケットの中にあります」
客の傍らの服の胸ポケットを指さした。

「うそでしょ」
目を丸くした女性は、おそるおそる胸ポケットに手を入れ、ダイヤのAのカードを取り出し、それを友人にみせた。

二人の客は、池田のマジックを賞賛し、拍手した。

「今のはどうやるんですか?ここだけの話、教えてくださいよ」
女性は、マジックに興味津々でたね明かしをねだった。

「マジックは人を楽しませるためのものです。たねも仕掛けもありません」
その他
公開:19/03/03 19:25

神代博志( グスク )









 

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