鏡美さん

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『初めまして、高木です』
「寮母の鏡美です」
入寮した日、寮母さんが若くて美しく驚いた。彼女は庭の手入れをしていた。
寮での生活は快適。
料理は家庭的で、大浴場もゆったり。
そして、彼女との会話の心地好さ。
そうか!彼女は俺と同じ言葉を使ったり、同じ動作をしている。
ミラーリングだ。
ある日、俺は彼女の部屋に招かれた。
「こっちにきて」
ま、まさか。
その部屋は鏡だらけ。
何人もの俺。あ、鏡美さん!
追いかけていくと、道は細くなり、行き止まりに。
目の前には、鏡美さん。
「驚いた?」
『驚いた』
「私のこと好き?」
『好き』
あれ?
彼女が服を脱ぐ。つられて、俺も脱ぐ。お互いが裸だ。
「あなたは私の鏡」
『俺はあなたの鏡』
違う。彼女の手にはカナヅチ。
俺の顔を叩くと、顔にひびが入り、激痛が。
や、やめろ。次の一撃で、俺の体は粉々に割れ……。
庭に埋められた俺の割れた声は、誰にも届かない。
その他
公開:19/03/05 12:21

そるとばたあ( 神奈川 )

★そるとばたあの400字SSは、ことば遊びと文章のリズムにこだわり、音を体感できる物語がコンセプトです!

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