花神の庭~椿首(つばきのおびと)
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「おおつべにをるおおぶねを」
――斬!
「へときはなち、ともときはなちて」
――斬!
「おおうなばらにおしはなつことのごとく」
――斬!
今年はつくづく『当たり』だ。裂けた袖を押さえ、息を整える。腕を伝う血が指から下って飛び石を汚す。
視線の先、朧月に浮かぶ緋縅(ひおどし)。咆哮が衝撃の刃を放つ。
――パン!
――斬ッ!
柏手(かしわで)は効果皆無。花守り(はなもり)の僕は、花神(はなかみ)を天へ送る為、詞を奉るしか出来ない。幸いどんな傷も、負った端から治る。魂が残れば死んでも甦る。痛みは無視すればいい。
「おちかたのしげきがもとを、やきがまのとがまもちて、うちはらうことのごとく」
――斬ッ・・・
首の中心で篭った音が響き、意識が霞む。
――のこるつみはあらじと。
はらへたまひ、きよめたまふことを――
再び意識が戻ると、緋縅は影も形もなく、僕の全身は、真っ赤な椿の花に埋もれていた。
――斬!
「へときはなち、ともときはなちて」
――斬!
「おおうなばらにおしはなつことのごとく」
――斬!
今年はつくづく『当たり』だ。裂けた袖を押さえ、息を整える。腕を伝う血が指から下って飛び石を汚す。
視線の先、朧月に浮かぶ緋縅(ひおどし)。咆哮が衝撃の刃を放つ。
――パン!
――斬ッ!
柏手(かしわで)は効果皆無。花守り(はなもり)の僕は、花神(はなかみ)を天へ送る為、詞を奉るしか出来ない。幸いどんな傷も、負った端から治る。魂が残れば死んでも甦る。痛みは無視すればいい。
「おちかたのしげきがもとを、やきがまのとがまもちて、うちはらうことのごとく」
――斬ッ・・・
首の中心で篭った音が響き、意識が霞む。
――のこるつみはあらじと。
はらへたまひ、きよめたまふことを――
再び意識が戻ると、緋縅は影も形もなく、僕の全身は、真っ赤な椿の花に埋もれていた。
ファンタジー
公開:19/03/05 04:00
椿:控えめな優しさ・誇り・
我が運命は君の手にあり
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
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