伝説の樹の下で
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校庭の隅にある大きな樹の下で、好きな人のリコーダーを吹くと、その人と永遠に幸せになれる。
この学校には、そんな伝説があった。
数多の生徒が、この物理的かつ倫理的に困難な伝説に挑み、散っていった。
そんな勇者達の屍の上に、今、プニヤは立っている。
同じクラスのポエミのリコーダーを手に。
「よし」
木漏れ日の中、プニヤは『アマリリス』を吹いた。
旋律が風に乗って響き渡る。届け、この想い。
「素敵な音色ね」
その声に、プニヤは手を止めた。
「ポ、ポエミさん」
そこにはポエミが立っていた。彼女もリコーダーを手にしている。
「私も一緒にいいかな」
そう言うと、ポエミも『アマリリス』を吹き始めた。
拙いユニゾンの音色が、二人の時間を優しく包み込む。
ざざざ、と大きな樹が枝葉を揺らす。まるで祝福しているかのように。
二人はいつまでも、『アマリリス』を吹き続けた。
二人ともそれしか吹けなかった。
この学校には、そんな伝説があった。
数多の生徒が、この物理的かつ倫理的に困難な伝説に挑み、散っていった。
そんな勇者達の屍の上に、今、プニヤは立っている。
同じクラスのポエミのリコーダーを手に。
「よし」
木漏れ日の中、プニヤは『アマリリス』を吹いた。
旋律が風に乗って響き渡る。届け、この想い。
「素敵な音色ね」
その声に、プニヤは手を止めた。
「ポ、ポエミさん」
そこにはポエミが立っていた。彼女もリコーダーを手にしている。
「私も一緒にいいかな」
そう言うと、ポエミも『アマリリス』を吹き始めた。
拙いユニゾンの音色が、二人の時間を優しく包み込む。
ざざざ、と大きな樹が枝葉を揺らす。まるで祝福しているかのように。
二人はいつまでも、『アマリリス』を吹き続けた。
二人ともそれしか吹けなかった。
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公開:19/03/02 17:56
あとチャルメラ
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