レンズ越しの恋

桜舞う入学式。僕は彼女と出会った。
美しい桜吹雪を収めた１枚の写真。そこに彼女は移り込んでいた。
僕は彼女に心奪われた。彼女と話したい。仲良くなりたい。
僕は彼女を探した。全学年全クラス探した。彼女はいなかった。
写真を見せ、教師にも聞いてみた。誰も彼女のことを知らなかった。
それでも僕は探し続けた。この学校でないのなら他の学校を探した。彼女は見つからなかった。
僕の学園生活は彼女を探すことだけに費やした。
そしてやってきた卒業式。僕は３年前の入学式と同じようにカメラを桜に向けた。
そこに彼女はいた！
物憂げな表情で桜を見上げていた。
僕は君に会いたかったんだ！
カメラ片手に駆け出す僕の体を車が撥ねた。
彼女が僕に気付いてやってくる。
やった…ついに僕は肉眼で彼女が見えるようになった。彼女と触れ合えるようになった。
彼女は笑う。怖いくらい美しい笑顔で。

学園七不思議・レンズ越しの彼女より