村祭り

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俺は罪を犯して逃げた。
逃げた先々でも窃盗、恐喝、強盗と罪を重ねた。逃亡を続けていた。
今朝迄は。
昨晩逃げ込んだ過疎の島。
空き家に潜伏したが、今朝には住民に見つかり、ワラワラと現れた農家、漁師らしい島のジジババ達に取り囲まれ、捕まった。
今は公民館で拘束されている。
直ぐ来るはずの警察は、昼過ぎになっても来ないが、ジジババは更に集まり数を増す、その内に婦人部と書いたTシャツを着たババ達が炊出しを始める。そんな賑わいだ。
そのジジババの幾人かは
よう来てくれた!
あんたのおかげじゃ!
と、訳の分からない声をかけて来る。
やがて村長と名乗るジジが、俺の手の拘束を解き、メシと茶を勧めた。
あんたのお陰で、ここの村祭りが16年振りに開催出来る。地域文化が継承出来る。ありがとう。と言う。
俺は聞く。
祭りの主役が俺か?
そうあんたじゃ。
どんな祭りだ?
・・ほっほっほ、伝統の血祭りじゃわい!
ホラー
公開:19/03/03 15:47
更新:22/04/28 22:23

みのる( 愛媛県産、現在広島県に生息。エサを求めて中四国の人里に出没中。 )

心に響く爽やかなお話しをお送りしたいのに、ああそれなのに・・・

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