カマキリと骸骨

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晴れた午後。草むらに寝転がってウトウトしてると「おい」とつつかれた。
「ん?」目を開けると、人間大のカマキリととぼけた顔の骸骨が私の顔を覗き込んでる。
「こーんなにいい天気なのに寝てる奴がいるぜ」「いるぜ」
これは夢かと、目をパチクリさせる。
「キャッチボールしようぜ」「しようぜ」
カマキリは勢いよくカマを振り上げると、骸骨の頭をはねた。ポーンと頭が飛んできて、私は思わず両手でキャッチした。シシシシと手の中で骸骨頭が笑う。
空を見上げた。いい天気だ。私はムクリと起き上がった。カマキリが「よし来い」とカマを広げる。
骸骨ボールが「片手で投げろよ」と生意気な口を利いた。
大きく深呼吸するように振りかぶって投げた。
骸骨ボールは空高く飛び、キャッチしようとカマキリがカマを振り上げ、勢いあまって空を切り裂いた。裂かれた空の切れ目から、夜が見える。
夜空に飛んだ骸骨ボールはシシシシと笑う月になった。
その他
公開:19/03/03 01:42
更新:19/03/03 17:11
バーテンダーと時間旅行 おおえさきさん 似顔絵

むう( 地獄 )

人間界で書いたり読んだりしてる骸骨。白むうと黒むうがいます。読書、音楽、舞台、昆虫が好き。松尾スズキと大人計画を愛する。ショートショートマガジン『ベリショーズ 』編集。そるとばたあ@ことば遊びのマネージャー。

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