お化けの路地裏

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ある日、僕は人間じゃなくなった。頭から角が生えてきて、追い出されてしまった。
「坊やどうしたの」
声がしたのはお化けの路地裏。大人も怖がるお化けの世界。
「角が生えたの。ならおいで」
連れていかれた路地の奥。そこにはお化けがたくさんいた。
「皮膚の病気に侵されて、家族に逃げられたのが運の尽き」
ミイラ男が語った。
「生まれつきがこうだから、捨てられたけど今が幸せ」
一つ目小僧が明るく話した。
「血しか飲めない体質で。周囲の目に疲れたの」
吸血女の妖しい笑顔。
「人間やめなきゃならなかった。ここはそんな奴らの王国。君もここでの生活を始めよう」
元人間の優しい人たち。だけど家に帰りたい。泣いている僕の角を、お化けは削り落としてくれた。
「君の世界におかえり」
寂しそうに、だけど笑顔で僕を見送ってくれた。

みんなが怖がるお化けの路地裏。本当は優しい人たちだよと、僕は何故だかみんなに言えない。
ファンタジー
公開:19/02/28 20:56
更新:19/03/05 08:08
新生活

風月堂( 札幌 )

400文字の面白さに惹かれて始めました!
文字や詩のようなものを書くのが趣味です。
情緒不安定気味でアゲサゲ落差のひどい人間ですw
いろんな方々の作品を読んで、心を豊かにしていきたいです。

無料の電子書籍をつくりました。
『ショートショート作品集カプセルホテル【】SPACE』
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『枇杷の独り言』
ショートショートコンテスト『家族』最優秀賞頂きました。

写真は全て自前でやっています(笑)

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