籠女の刻(ろうじょのきざみ)

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テエラは、紅く流動する籠目(かごめ)を透かし、ルーナを感じています。
また一歩遠くなる。海と地の壁から動けないテエラは、ルーナとの絆が、みるみる伸び、薄れていく様を感じるだけ。――ぴんと弾けば、昔は――ぴんと弾き返してくれたもの。これ程張り詰めて細った今、触れたら切れてしまうのではと怖くて、テエラはちらとも動かぬ絆を、伸ばされるに任せているのです。

籠女(かごめ)籠女
籠の中の捕(とり)は、いついつ出やる

ルーナの足に合わせ、テエラの歌が海へ波を刻みます。ルーナが気付いてくれないかと、絶えず祈りを込めて。

夜明けの番に 月(つき)は壁を据(す)えた

醜く赤茶けた砂と酸に変わり果てたテエラを、ルーナはもう愛していないのでしょうか。どんどん遠退き離れ、いつかテエラは、完全に見放されてしまうのでしょうか。

虚ろの終焉、だけ?

中核からどこへ問うても、テエラの歌に耳を貸す者はいません。
ファンタジー
公開:19/02/28 00:30
地球(テエラ)と月(ルーナ) 月の離脱 童謡かごめかごめ 糸電話(『衛星』回線) 星の話、これにて一旦、閉幕。

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞

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