柩急車(きゅうきゅうしゃ)

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鳴き喚く青いサイレンを、鼓膜が吸収してる。病院まで保たないな。呆気なく実感が落ちた。
運転して行き会うと、『邪魔』って思うのが正直で。車線とか譲らなきゃならなくて『迷惑』って。知らない家の軒先に停まってる黒い車を、担ぎ出されるストレッチャーを『縁起悪い』って。
自分が運ばれる時なんか、想定しないものね。

夜中に倒れて、電話に取り付く影や、呼んでるらしい口の形や、水の向こうみたいに遠くて。身体も動かないのに、意識だけすぅっと冴えて、猛スピードで流れてく風景を、断続するセンターラインを、寝たまま見てる。
ごうっ――トンネルを通過する前に、大きな窓が張ってる。真っ直ぐ飛び込む黒と青が、逆から突入する白と赤に重なる。重なって、すれ違う――


あれが臨死体験なのかな。
よく『生まれ変わったみたい』って言うけど、実際変わってるかもしれない。

あの時、白い救急車に寝てた顔、どう見ても私だったもの。
ホラー
公開:19/03/02 01:19
更新:19/03/01 23:42
臨死体験と平行世界 シンクロニシティ

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。

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