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東京6:00発、東海道新幹線のぞみ1号は定刻どおり8:08、京都駅へ到着した。私は何か勘違いをしていて、竜安寺へ向かうJRバスは8:30発だった。それに乗ると竜安寺着は9:01になり、拝観時間は始まっていた。私は、大勢の観光客に混じって寺を回った。
疑天竜安と名乗る僧侶はでっぷりと太った老人だった。「虎の子渡し」「七・五・三の庭」「石が一つ必ず隠れる配置」という、ガイドブック通りの説明を聞き流し、私は観光客の間に座った。
すると、四方八方から猫が現れ、思い思いの場所に穴を掘って糞をすると丁寧に埋めた。観光客がざわつき始め、寺の関係者が慌てている。
猫は泰然自若で、それぞれ一匹ずつが日当たりのよい石の天辺に柔和に丸まった。僧侶達は箒の柄で猫を追い払おうとしていた。拝観は中断された。私は溜息をついて座を立った。
ふと思い立って数えてみると猫は十六匹いた。呵々という笑い声が庭に響いた。
疑天竜安と名乗る僧侶はでっぷりと太った老人だった。「虎の子渡し」「七・五・三の庭」「石が一つ必ず隠れる配置」という、ガイドブック通りの説明を聞き流し、私は観光客の間に座った。
すると、四方八方から猫が現れ、思い思いの場所に穴を掘って糞をすると丁寧に埋めた。観光客がざわつき始め、寺の関係者が慌てている。
猫は泰然自若で、それぞれ一匹ずつが日当たりのよい石の天辺に柔和に丸まった。僧侶達は箒の柄で猫を追い払おうとしていた。拝観は中断された。私は溜息をついて座を立った。
ふと思い立って数えてみると猫は十六匹いた。呵々という笑い声が庭に響いた。
ファンタジー
公開:19/03/01 10:43
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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