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定年退職をした父が帰ってきた。その腕には一匹の猫が抱きかかえられている。
聞けば猫は父の職場の近くに住み着いた野良猫で父によく懐いているという。父の「お前も一緒に来るか?」の言葉についてきたようだ。
額に十字の傷のある老猫。見れば雰囲気が父によく似ている。
寝てばかりいる猫と父は退職後のスローライフを満喫していた。

ところで私はこの時、とある悩みを抱えていた。毎夜毎夜、私は夢の中で殺人鬼に殺されている。悪夢に悩まされていたのだ。
しかし悪夢は所詮夢。相談したところで解決する方法などない。
私は寝るのが億劫になっていた。

ある夜、いつものように私が夢の中で殺人鬼に襲われていると額に十字傷のある老人が私を助けてくれた。
「お嬢様。これからあなたの夢は私がお守りいたします」
老人はそう言って消えた。
朝、胸の上に重みを感じて目を覚ますとそこには猫がいた。
その日から私は悪夢を見なくなった。
公開:19/02/26 18:34

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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