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立体交差の陸橋から、下の道路に向けて設置されている空色の街路灯の後頭部を見下ろすのが好きです。後頭部って無防備で、猫の後頭部も大好き。
でも今日は、その街路灯の後頭部に留まっている白い鳩の、先ほどから首を傾げては辺りを見渡している、後頭部を見下ろしています。
鳩は、遠方の桜並木の下に降りしきる薄墨色の花びらを眺めては、首を傾げているようでした。何かを待っているような、何かを見逃さないように緊張しているような感じでした。
そこへ、一陣の風が吹きつけて、花びらの一群れが転げるように流れてきました。
鳩はしっかりと前を見据えると、両足に力を溜めて飛び立ちました。頑丈な街路灯の首がゆらゆら揺れ、陸橋も揺れたような気がしました。鳩の起こした旋風に花びらは少し混乱し、高架下へ吸い込まれていきました。そして、その後すぐ、私の目の前を、たくさんの紋白蝶が足元から、空へ舞い上がっていったのでした。
でも今日は、その街路灯の後頭部に留まっている白い鳩の、先ほどから首を傾げては辺りを見渡している、後頭部を見下ろしています。
鳩は、遠方の桜並木の下に降りしきる薄墨色の花びらを眺めては、首を傾げているようでした。何かを待っているような、何かを見逃さないように緊張しているような感じでした。
そこへ、一陣の風が吹きつけて、花びらの一群れが転げるように流れてきました。
鳩はしっかりと前を見据えると、両足に力を溜めて飛び立ちました。頑丈な街路灯の首がゆらゆら揺れ、陸橋も揺れたような気がしました。鳩の起こした旋風に花びらは少し混乱し、高架下へ吸い込まれていきました。そして、その後すぐ、私の目の前を、たくさんの紋白蝶が足元から、空へ舞い上がっていったのでした。
ファンタジー
公開:19/02/27 10:29
更新:19/03/09 15:53
更新:19/03/09 15:53
宇祖田都子の話
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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