千日髑髏(せんにちどくろ)

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地上の町々が上げる声援に、髑髏(どくろ)は大気の外から、歯を鳴らして応えます。
「カタタカタッ!(ヘイ来たぜ)」

髑髏が惑星の命を終えたのが、いつの事やら忘れましたが、前にこの星を掠めたのが、人の時で千日あまり前であった事は憶えています。
彼らは黒い服を着、面や作り物を掲げ、夜通し騒いでいました。それが意味する所は解らずとも、彼らの奉っていたのは、まぎれもなく己――髑髏の似姿でした。
『ニアミスキドウ』
『ショウトツ』
『チキュウメツボウ』
盛んに飛び交う言葉は、己を讃える祝詞(のりと)に違いない。特に面識もありませんが、そこまで崇拝されて、一骨脱がなければ骸(むくろ)がすたる。

――という事で、髑髏は千日ごと、この星に通うと決めました。
今回、人々は明るい服で、作物を囲みます。肝心の髑髏も見当たりません。少し残念ですが、嬉しそうなので良しとしましょう。
「カタタタタ!(また来るぜ)」
ファンタジー
公開:19/02/27 10:06
ハロウィン小惑星(スプーキー) 髑髏の絵は、むうさんへ

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.12執筆参加
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞。2022年6月アンソロジー出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞受賞

いつも本当にありがとうございます!

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